🔹定義
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組織化された密性の線維性結合組織
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主に筋の表面や複数筋群を包む鞘構造
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筋間連結や筋力の伝達、姿勢制御などに関与
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筋外膜・腱膜筋膜の2つに大別
🔹分類と構造
1. 腱膜筋膜(aponeurotic fascia)
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筋群全体を包む、厚く明瞭な線維鞘(例:大腿筋膜、胸腰筋膜など)
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筋から独立して遠隔への力の伝播を可能に
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主成分はⅠ型コラーゲン
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多方向の線維束が走行 → 全方向の牽引に抵抗
✔ **ヒアルロン酸(HA)**を分泌する筋膜細胞あり
✔ 血管新生が活発・神経支配も豊富
✔ 支帯(retinacula)はその補強構造として機能
2. 筋外膜(epimysium)
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各筋を包む薄く組織化された層(厚さ150–200μm)
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筋特異的で、筋形状を定義し隣接筋との滑走性を確保
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Ⅰ・Ⅱ型コラーゲン+弾性線維から成る
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血管・神経の通路を支持し、形態変化にも対応
✔ 神経支配あり(自由神経終末)だが、パチニ・ルフィニは欠く
✔ 筋紡錘との連携 → 固有感覚や運動協調に寄与
3. 筋周膜(perimysium)
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筋外膜に連続する薄層
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筋線維束単位を構成し、力の局所伝播・神経血管支持を担う
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多層構造(浅・中・深)+HA豊富 → 筋線維の滑走・収縮変化に対応
4. 筋内膜(endomysium)
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単一筋線維を包む最内層
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主にⅢ・Ⅳ・Ⅴ型コラーゲンとHAで構成
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力の伝達は少ないが、代謝交換の調整機能あり
🔹機械的特性(深筋膜全体として)
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非線形応答/多軸引張耐性/異方性/粘弾性あり
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構造に応じて方向性をもった張力伝達が行われる
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筋出力の30~40%は筋膜経由で隣接構造に伝達される
→ 腱だけではなく筋膜の力学的連携が極めて重要!
🔹画像診断のポイント
モダリティ | 特徴・利点 |
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MRI | T1強調画像が有効。層構造・変性が明瞭。 |
CT | 骨・石灰化の確認に優れ、構造変化の把握が得意。 |
超音波 | 滑走解析・癒着評価に◎。動態評価&低コスト。 |
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